ムーンショット目標6
2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現

ターゲット

  • 2050年頃までに、大規模化を達成し、誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現する。
  • 2030年までに、一定規模のNISQ量子コンピュータを開発するとともに実効的な量子誤り訂正を実証する。

誤り耐性型汎用量子コンピュータは、大規模な集積化を実現しつつ、様々な用途に応用する上で十分な精度を保証できる量子コンピュータ。

NISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum)量子コンピュータは、小中規模で誤りを訂正する機能を持たない量子コンピュータ。

参考

関連するエリアとビジョン

Area :「サイエンスとテクノロジーでフロンティアを開拓する」

Vision :「未踏空間の可視化(量子から地球まで)」

目標設定の背景

  • Society 5.0の実現に向けて、コンピュータ、ディープラーニング及び組み合わせ最適化手法の需要が爆発的に増加する。
  • コンピュータの性能は、半世紀以上にわたって進歩してきたが、ムーアの法則と呼ばれる従来のコンピュータの進歩には限界がある。
  • 現在のスーパーコンピュータが、現在と同じ速度で進歩し続けると仮定しても、多くの重要な計算タスクは、スーパーコンピュータでの処理が困難、または現実的な時間で解くことが不可能である。
  • 量子計算は、従来のコンピュータとはまったく異なる原理に基づいており、現実的な時間で重要な計算タスクを実行可能であることは世界の共通認識になっている。
  • しかし、今日の小規模な量子コンピュータ(NISQ)はノイズの影響を受けており、実行できるアプリケーションは限定的である。
  • 量子コンピュータ、量子センサー、量子通信・暗号等の量子技術と、従来の情報技術との組み合わせ、量子技術によるまったく新しい社会の到来が期待される。

ムーンショットが目指す社会

  • 量子コンピュータを含む量子技術を応用し、様々な分野で革新を生み出し、知識集約型社会へのパラダイムシフトや既存の社会システムを変革する。
  • 目標の達成とその過程においてスピン・オフ、スピン・アウトする量子技術により、産業競争力の強化、革新的な医療と健康管理、デジタル情報時代の安全とセキュリティを確保する。
  • 材料開発では、詳細な機能分析により、既存材料の性能を最大化するとともに、新しい性能を持つ材料の開発を加速する。
  • エネルギー分野では、高精度量子化学計算による窒素固定法や高効率人工光合成法の原理を解明するとともに、工学的応用手法を開発する。
  • 創薬分野では、より大きな分子系における量子化学シミュレーションにより新薬の発見を促進し、合理化されたワークフローによってコストを削減する。
  • 経済分野では、迅速でエネルギー消費の少ない逐次大規模計算により、短期的ポートフォリオの最適化と長期的リスク分析に対応する。
  • 輸送、交通等の物流分野では、巡回セールスマン問題等の最適化問題を解き、サプライチェーンとスケジューリングの合理化による交通渋滞を緩和する。
  • 大規模シミュレーションとAIによる天気予報の精度の向上、災害の早期警報、企業価値の高精度予測及び金融商品の取引戦略の強化を実現する。

研究開発

プロジェクト一覧

PD:北川 勝浩(大阪大学 量子情報・量子生命研究センター センター長)

研究開発プロジェクト PM 研究開発概要およびホームページ
誤り耐性型量子コンピュータにおける理論・ソフトウェアの研究開発 小芦 雅斗
東京大学
プロジェクト一覧(目標6)から、
ご確認お願いします。
量子計算網構築のための量子インターフェース開発 小坂 英男
横浜国立大学
イオントラップによる光接続型誤り耐性量子コンピュータ 高橋 優樹
沖縄科学技術大学院大学
誤り耐性型大規模汎用光量子コンピュータの研究開発 古澤 明
東京大学
大規模集積シリコン量子コンピュータの研究開発 水野 弘之
株式会社日立製作所
ネットワーク型量子コンピュータによる量子サイバースペース 山本 俊
大阪大学
超伝導量子回路の集積化技術の開発 山本 剛
日本電気株式会社
ナノファイバー共振器QEDによる大規模量子ハードウェア 青木 隆朗
早稲田大学
大規模・高コヒーレンスな動的原子アレー型・誤り耐性量子コンピュータ 大森 賢治
自然科学研究機構
スケーラブルな高集積量子誤り訂正システムの開発 小林 和淑
京都工芸繊維大学
拡張性のあるシリコン量子コンピュータ技術の開発 樽茶 清悟
理化学研究所
スケーラブルで強靭な統合的量子通信システム 永山 翔太
慶應義塾大学

主要イベント

2020年1月23日 総合科学技術・イノベーション会議(第48回)
ムーンショット目標6を決定。

2020年2月20日 PM公募開始(~2020年6月2日)

2020年7月29日 ムーンショット型研究開発制度に係る戦略推進会議(第1回)
PM公募・審査状況を報告。

2020年9月14日 ムーンショット型研究開発制度に係る戦略推進会議(第2回)
研究開発の進め方を報告。

2020年9月18日 PMおよび研究開発プロジェクト決定

2020年12月25日 ムーンショット型研究開発制度に係る戦略推進会議(第3回)
前回の助言等への対応を報告。

2021年3月11日 キックオフシンポジウム

2021年4月23日 国際シンポジウム

2022年3月1日 PM追加公募開始(~2022年5月10日)

2022年3月11日 ムーンショット型研究開発制度に係る戦略推進会議(第4回)
進捗・自己評価を報告。

2022年3月11日 公開シンポジウム

2022年7月28日 PMおよび研究開発プロジェクト追加決定

2022年9月9日 ムーンショット型研究開発制度に係る戦略推進会議(第6回)
研究開発の進め方を報告。

2023年3月24日 ムーンショット型研究開発制度に係る戦略推進会議(第8回)
進捗・自己評価を報告。

2023年3月28日 公開シンポジウム

2023年4月14日 数理科学ワークショップ

2023年7月18日 - 20日 国際シンポジウム

2023年8月24、25日 ムーンショット型研究開発制度 合同シンポジウム~「ムーンショット×ムーンショット」で生み出す破壊的イノベーション~
9名のPDと有識者によるパネルディスカッションや成果展示を実施。

2023年11月9日、10日 ムーンショット型研究開発制度に係る戦略推進会議(第11回)
外部評価結果とポートフォリオの見直しを報告。

アーカイブ

ムーンショット目標6の詳細

ムーンショット目標6の取り組みについては、下記の研究開発法人のページを参照ください。