第2章 高齢社会対策の実施の状況 

第2節 高齢社会対策の動き

1 主な法律の制定・改正

 平成15年度に推進された高齢社会対策について、主な法律の制定・改正の動きを挙げれば、次のとおりである。
1) 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案の国会提出(参照1参照2)
 少子高齢化の急速な進展等を踏まえ、少なくとも65歳までは働き続けることができるようにするため、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による65歳までの雇用の確保、中高年齢者の再就職の促進等を内容とする高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案を第159回国会に提出した。
2) 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律案の国会提出(参照1参照2)
 我が国における急速な少子化の進行等を踏まえ、総合的な次世代育成支援対策を推進する等の観点から、育児休業・介護休業の対象労働者の拡大、育児休業期間の延長や介護休業の取得回数制限の緩和等を内容とする育児・介護休業法等の一部を改正する法律案を第159回国会に提出した。
3) 国民年金法等の一部を改正する法律案の国会提出(参照1参照2参照3)
 少子高齢化の急速な進行が予測される中で、将来にわたって持続可能な安心できる制度を確立するため、1)保険料水準の上昇を抑え、その水準を18.3%に固定するとともに、この範囲内で年金を支える力に対応して、給付水準を調整する仕組みを導入すること、2)将来的にも、給付水準は、現役世代の平均的収入の50%を上回る水準を確保すること、3)前回の制度改正で課題として残されていた基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げへの道筋を明確に示すこと(平成16年度着手、21年度までに完全引上げ)などを内容とする国民年金法等の一部を改正する法律案を第159回国会に提出した。
4) 平成16年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案の国会提出(参照)
 平成16年度の年金額について、15年度の物価スライドと同様、現役世代の賃金が低下している中で、保険料を負担する現役世代との均衡の観点から、高齢者の生活に配慮しつつ、特例として15年の消費者物価の下落分(マイナス0.3%)のみの年金額等の改定を行うこととし、この特例措置の実施のため、平成16年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案を第159回国会に提出した。
5) 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案の国会提出(参照)
 少子高齢化の一層の進展等社会経済情勢の変化に対応した持続可能な制度を構築し、国家公務員共済年金制度に対する信頼の確保を図るため、年金額の水準を自動的に調整する制度を導入するほか、多様な生き方及び働き方に対応し、組合員がその能力を発揮できる社会の実現に質するため、組合員に対する退職共済年金の支給停止制度の見直し、育児をする組合員に対する配慮措置の拡充、標準報酬の月額等を分割する制度の創設等女性と年金に関する制度の見直し等を講ずるとともに、地方公務員共済年金制度との長期給付の財政単位の一元化を図るための所要の措置等を講ずること等を内容とする国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を第159回国会に提出した。
6) 地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の国会提出(参照)
 少子高齢化の一層の進展等社会経済情勢の変化に対応した持続可能な制度を構築し、地方公務員共済年金制度の長期的安定を図り、併せて多様な生き方及び働き方に対応し、組合員がその能力を発揮できる社会の実現に資するため、年金額の水準を自動的に調整する制度の導入、組合員に対する退職共済年金の支給停止制度の見直し、育児をする組合員に対する配慮措置の拡充、離婚等をした場合の掛金の標準となった給料等の特例制度の創設等の措置を講ずるとともに、国家公務員共済年金制度との長期給付の財政単位の一元化及び全国市町村職員共済組合連合会を構成する共済組合の長期給付事業の一元的処理を図るための所要の措置等を講ずること等を内容とする地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を第159回国会に提出した。
7) 少子化社会対策基本法の成立
 急速に進展する少子化に長期的な視点に立って的確に対処するため、少子化社会において講ぜられる施策の基本理念を明らかにするとともに、国及び地方公共団体の責務、少子化に対処するために講ずべき基本的施策など、少子化社会対策を総合的に推進するための基本となる事項を定めた少子化社会対策基本法(平成15年法律第133号)が成立した(図2−2−1)。

図2−2−1 少子化社会対策基本法の概要

図2−2−1 少子化社会対策基本法の概要

8) 次世代育成支援対策推進法の成立(参照)
 近年、我が国において急速に少子化が進展していることにかんがみ、次代の社会を担う児童が健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備を図るため、国による行動計画策定指針並びに地方公共団体及び事業主による行動計画の策定等の次世代育成支援対策を迅速かつ重点的に推進するために必要な措置を講ずることを内容とした次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)が成立した。
9) 児童福祉法の一部を改正する法律の成立(参照)
 我が国において急速に少子化が今後一層進展することが予測されることにかんがみ、地域における子育て支援の強化を図るため、市町村が実施する子育て支援事業の法定化等所要の措置を講ずることを内容とした児童福祉法の一部を改正する法律(平成15年法律第121号)が成立した。
10) 児童手当法の一部を改正する法律案の国会提出(参照)
 我が国における急速な少子化の進行等を踏まえ、子育てを行う家庭の、経済的負担の軽減等を図る観点から、児童手当の支給対象年齢を引き上げることを内容とする児童手当法の一部を改正する法律案を第159回国会に提出した。
11) 児童福祉法の一部を改正する法律案の国会提出(参照)
 我が国における急速な少子化の進行等を踏まえ、総合的な次世代育成支援対策を推進するため、児童虐待等の問題に適切に対応できるよう、児童相談に関する体制の充実等を図るとともに、慢性疾患にかかっている児童に対する医療の給付を創設する等の措置を講ずる児童福祉法の一部を改正する法律案を第159回国会に提出した。

 

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