IV.障害者を捉える設問に関する調査 IV-4-1 (8)

4.調査の結果

1)インターネット調査

(8)設問で「障害のある者」かつ、「公的障害者制度の非利用者」の属性

 ワシントングループの設問や欧州統計局の設問で、「障害のある者」として捕捉されながら、公的障害者制度を利用していない者は、支援が必要であるものの、制度的な支援を受けることができていない可能性がある(補完性の観点)。
 この者が、実際にはどのような者であるのかについて、いくつかの設問を対象に、性別及び年齢階層別に分析を行った。

<1>ワシントングループの設問における「障害のある者」かつ「公的障害者制度利用無し」かつ設問11で日常生活の手助け・見守りを必要とする者

 ワシントングループの設問で「障害のある者」として捕捉されたが、公的障害者制度を利用していないにもかかわらず、日常生活の手助け・見守りが必要という者について、性別及び年齢階層別分析を実施した。
 男女比に大きな差はないが、60代(22.3%)、20代(19.4%)が相対的に多い。
 しかし、60歳以上という区分で見ると、45.6%(22.3%+19.4%+3.9%)となっており、半数近くが60歳以上である。

図表 56 ワシントングループの設問における「障害のある者」かつ「公的障害者制度利用無し」かつ日常生活の手助け・見守りを必要とする者の属性

(実数)
合計 男性 女性
合計 103 49 54
20代 20 10 10
30代 14 8 6
40代 14 8 6
50代 8 4 4
60代 23 9 14
70代 20 10 10
80歳以上 4 0 4
(割合)
合計 男性 女性
合計 100.0% 47.6% 52.4%
20代 19.4% 9.7% 9.7%
30代 13.6% 7.8% 5.8%
40代 13.6% 7.8% 5.8%
50代 7.8% 3.9% 3.9%
60代 22.3% 8.7% 13.6%
70代 19.4% 9.7% 9.7%
80歳以上 3.9% 0.0% 3.9%

 60歳以上で、公的障害者制度は利用していないものの、何らかの支援を必要としている者は一定程度存在すると考えられる。

<2>欧州統計局の設問における「障害のある者」かつ「公的障害者制度利用無し」かつ設問11で日常生活の手助け・見守りを必要とする者

 欧州統計局の設問で「障害のある者」として捕捉されたが、公的障害者制度を利用していないにもかかわらず、日常生活の手助け・見守りが必要という者について、性別及び年齢階層別の分析を実施した。
男女比の観点からは、女性が相対的に多く、60.7%を占めている。
年齢階層別には、60代(25.7%)、70代(16.4%)が相対的に多い。しかし、60歳以上という区分で見ると、45.0%(25.7%+16.4%+2.9%)となっており、半数近くが60歳以上である。

図表 57 欧州統計局の設問における「障害のある者」かつ「公的障害者制度利用無し」かつ日常生活の手助け・見守りを必要とする者の属性

【実数】
合計 男性 女性
合計 140 55 85
20代 16 4 12
30代 20 8 12
40代 22 13 9
50代 19 8 11
60代 36 12 24
70代 23 9 14
80歳以上 4 1 3
【割合】
合計 男性 女性
合計 100.0% 39.3% 60.7%
20代 11.4% 2.9% 8.6%
30代 14.3% 5.7% 8.6%
40代 15.7% 9.3% 6.4%
50代 13.6% 5.7% 7.9%
60代 25.7% 8.6% 17.1%
70代 16.4% 6.4% 10.0%
80歳以上 2.9% 0.7% 2.1%

 60歳以上で、公的障害者制度は利用していないものの、何らかの支援を必要としている者は一定程度存在すると考えられる。

<3>ワシントングループの設問における「障害のある者」かつ「公的障害者制度利用無し」かつ設問22で就職希望がある者

 ワシントングループの設問で「障害のある者」として捕捉されたが、公的障害者制度を利用しておらず、就職希望については「したい」としている者について性別・年齢階層別の分析を実施した。
 男女比の観点からは、女性が相対的に多く、62.8%を占めている。
 年齢階層別には、60代(28.9%)、20代(24.7%)が相対的に多い。就職希望であることから、支援の必要性と比べると、20~50代も多く対象となっている。

図表 58 ワシントングループの設問における「障害のある者」かつ「公的障害者制度利用無し」かつ就職希望がある者の属性

(実数)
合計 男性 女性
合計 239 89 150
20代 59 22 37
30代 33 10 23
40代 32 12 20
50代 27 9 18
60代 69 25 44
70代 19 11 8
80歳以上 0 0 0
【割合】
合計 男性 女性
合計 100.0% 37.2% 62.8%
20代 24.7% 9.2% 15.5%
30代 13.8% 4.2% 9.6%
40代 13.4% 5.0% 8.4%
50代 11.3% 3.8% 7.5%
60代 28.9% 10.5% 18.4%
70代 7.9% 4.6% 3.3%
80歳以上 0.0% 0.0% 0.0%

 女性かつ20代、60代で就職希望の者で、支援を必要としている者が一定程度存在している。

<4>欧州統計局の設問における「障害のある者」かつ「公的障害者制度利用無し」かつ設問22で就職希望がある者

 欧州統計局の設問で「障害のある者」として捕捉されたが、公的障害者制度を利用しておらず、就職希望については「したい」としている者について性別・年齢階層別の分析を実施した。
 男女比の観点からは、女性が相対的に多く、63.9%を占めている。
 年齢階層別には、60代(26.7%)、40代(20.3%)と壮年・高年が相対的に多い点が特徴的である。就職希望であることから、支援の必要性と比べると、20~50代も多く対象となっている。

図表 59 欧州統計局の設問における「障害のある者」かつ「公的障害者制度利用無し」かつ就職希望がある者の属性

【実数】
合計 男性 女性
合計 404 146 258
20代 54 18 36
30代 63 18 45
40代 82 19 63
50代 62 26 36
60代 108 40 68
70代 32 22 10
80歳以上 3 3 0
【割合】
合計 男性 女性
合計 100.0% 36.1% 63.9%
20代 13.4% 4.5% 8.9%
30代 15.6% 4.5% 11.1%
40代 20.3% 4.7% 15.6%
50代 15.3% 6.4% 8.9%
60代 26.7% 9.9% 16.8%
70代 7.9% 5.4% 2.5%
80歳以上 0.7% 0.7% 0.0%

 女性かつ40代、60代で就職希望の者で、支援を必要としている者が一定程度存在している。

 8)での以上の結果を踏まえると、性別及び年齢階層別の分析を行うことで、どの集団が支援を必要としているのかがわかり、その集団に適した支援を考え、政策として実施することを検討できる可能性がある。

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