IV.障害者を捉える設問に関する調査 IV-4-1 (9)<3>
4.調査の結果
1)インターネット調査
(9)3つの設問により「障害のある者」として捕捉された者の特徴<3>
<3>ワシントングループの設問及び欧州統計局の設問における「障害のある者」と公的制度利用者の比較(まとめ)
ワシントングループの設問、欧州統計局の設問、公的障害者制度の利用者について、いくつか、特に重要な設問(支援の必要性や就労関係)を中心に整理した。以下の図表では、ワシントングループの設問(図表中では「WG」と表記)、欧州統計局の設問(図表中では「ES」と表記)それぞれで「障害のある者」として捕捉された者、及び公的障害者制度の利用者(図表中では「公的」と表記)について、いくつかの設問の特定の選択肢における回答割合を記載している。
特に「全数(障害のある者)」においては、ワシントングループの設問と欧州統計局の設問における特定の選択肢への回答に係る「障害のある者」の割合の差を見ており、特に差が大きいもの(10ポイント以上の差がある場合)については赤(**)で表示しており、やや差が大きいもの(5ポイント以上10ポイント未満の差がある場合)については黄(*)で表示している。「健康上の問題の日常生活への影響」や「仕事につけない理由(複数回答):「健康に自信がない」者」については、欧州統計局の設問が特に高くなっている。
また、「障害のある者」から「障害のない者」を引いた差分については図表の「全数(障害有無による差異)」で表示しているが、ここを見ることで、どの程度の有意性を把握できるのか、ということがわかる。
特に就労関係については、「前月中の仕事の有無」や「就業日数」、「勤務形態」などはワシントングループの設問では大きな差がない(差分が小さい)ため有意性はそれほど認められないが、同じ項目について欧州統計局の設問では相対的に一定の差があり、有意性の把握ができる。ただし、「就職希望の有無」や「就職時に希望する勤め先での呼称」については、ワシントングループの設問も欧州統計局の設問も同程度の差異であり、どちらかの設問について相対的に特に強い有意性が認められるわけではない。
※値は全て割合であり、単位はパーセンテージ(%)。 ※WG及びESの設問で「障害のある者」となった者の、該当する設問の割合である。 |
全数(障害のある者) | 全数(障害のない者) | 全数(障害有無による差異) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
WG <1> |
ES <2> |
公的 <3> |
WG <4> |
ES <5> |
公的 <6> |
WG <1>-<4> |
ES <2>-<5> |
公的 <3>-<6> |
|
1 手助け・見守りの必要性:必要としている者 | 16.0 | 15.4 | 29.7 | 1.7 | 0.8 | 1.1 | 14.3 | 14.6 | 28.6 |
2 健康上の問題の日常生活への影響 | 35.0** | 63.2** | 57.1 | 11.0 | 3.4 | 10.1 | 24.0 | 59.8 | 47.0 |
3 健康上の問題の発生時期:「生まれつき」+「10年以上」の者 | 45.9 | 44.1 | 56.8 | 39.0 | 29.0 | 33.3 | 6.9 | 15.1 | 23.5 |
4 気分障害(心配・不安を感じる頻度):「毎日」の者 | 19.2* | 25.5* | 27.5 | 7.6 | 5.5 | 7.4 | 11.6 | 20.0 | 20.1 |
5 気分障害(憂鬱を感じる頻度):「毎日」の者 | 18.4* | 24.6* | 26.1 | 7.5 | 5.5 | 7.3 | 10.9 | 19.1 | 18.8 |
6 通院・買い物の困難性 | 23.7* | 29.7* | 40.6 | 4.8 | 2.3 | 4.2 | 18.9 | 27.4 | 36.4 |
7 前月中の仕事の有無:「(仕事あり)主に仕事をしている」者 | 46.7* | 38.4* | 35.5 | 48.7 | 50.6 | 49.6 | -2.0 | -12.2 | -14.1 |
8 就業日数:前週中の仕事をした日数が「5日」の者 | 62.2* | 54.8* | 53.1 | 62.7 | 64.1 | 63.3 | -0.5 | -9.2 | -10.2 |
9 就業時間:前集中の残業も含めた総時間が「31-40時間」の者 | 30.7 | 29.2 | 31.2 | 32.0 | 32.3 | 32.2 | -1.3 | -3.1 | -1.0 |
10 1年間の収入又は収益:「400~499万円」の者 | 10.1 | 9.6 | 7.2 | 10.6 | 10.7 | 10.8 | -0.5 | -1.2 | -3.6 |
11 勤務形態:「一般常雇用者(契約期間の定めのない雇用者)」の者 | 54.3* | 47.4* | 47.3 | 55.5 | 56.7 | 55.9 | -1.2 | -9.3 | -8.6 |
12 勤め先での呼称:「正規の職員・従業員」とする者 | 64.2* | 55.4* | 54.5 | 60.0 | 61.3 | 60.9 | 4.2 | -5.9 | -6.4 |
13 就職希望の有無:「したいと思っている」者 | 33.1 | 34.5 | 39.1 | 26.7 | 25.7 | 26.2 | 6.4 | 8.8 | 12.9 |
14 就業時に希望する勤め先での呼称:「正規の職員・従業員」とする者 | 12.2 | 11.0 | 14.6 | 9.5 | 9.6 | 9.3 | 2.7 | 1.4 | 5.3 |
15 即時の就業の可否:「つける」とする者 | 27.3 | 26.2 | 25.1 | 39.8 | 41.5 | 39.8 | -12.5 | -15.3 | -14.7 |
16 求職の状況:「探している」者 | 44.7 | 42.5 | 47.9 | 25.6 | 24.7 | 25.8 | 19.1 | 17.8 | 22.1 |
17 仕事につけない理由(複数回答):「健康に自信がない」者 | 57.1** | 76.3** | 74.7 | 28.4 | 18.0 | 26.7 | 28.7 | 58.3 | 48.0 |
注)「障害のある者」の「公的」とは、「公的障害者制度の利用者」の意味である。
同様に、「障害のない者」の「公的」とは、「公的障害者制度の非利用者」の意味である。
注)本文中にも記載しているが、「全数(障害のある者)」について、ワシントングループ(WG)の設問と欧州統計局(ES)の設問差異が10ポイント以上の場合は赤(**)、5ポイント以上10ポイント未満の場合は黄(*)に色付けしている。
注)「全数(障害有無による差異)」については、ワシントングループの設問、欧州統計局の設問における「障害のある者」の割合から「障害のない者」の割合を引いたものであり、「公的障害者制度の利用者」の割合から「公的障害者制度の非利用者」の割合を引いたものである。