IV.障害者を捉える設問に関する調査 IV-4-1 (9)<4>

4.調査の結果

1)インターネット調査

(9)3つの設問により「障害のある者」として捕捉された者の特徴<4>

(4)設問のわかりやすさの評価

(設問ごとの結果)

  • ワシントングループの設問においては、最も「総合的に回答しやすい」と回答した者が38.9%であった。また、評価の要素としての最も「短時間で回答可能」とする者が41.8%、最も「質問文がわかりやすい」と回答する者が38.8%、最も「選択肢を選びやすい」とする者が37.4%であった。
  • 欧州統計局の設問においては、最も「総合的に回答しやすい」と回答した者が45.8%であった。また、評価の要素としての最も「短時間で回答可能」とする者が47.1%、最も「質問文がわかりやすい」と回答する者が45.3%、最も「選択肢を選びやすい」とする者が44.8%であった。
  • WHODAS2.0においては、最も「総合的に回答しやすい」と回答した者が15.3%であった。また、評価の要素としての最も「短時間で回答可能」とする者が11.1%、最も「質問文がわかりやすい」と回答する者が15.9%、最も「選択肢を選びやすい」とする者が17.8%であった。

(設問間の比較)

  • 総合的な回答しやすさについては、相対的に欧州統計局の設問が最も評価されている(45.8%)。
  • 「短時間で回答可能」、「質問文がわかりやすい」、「選択肢を選びやすい」のいずれの観点でも、欧州統計局の設問が最も回答しやすいと評価されている。ただし、ワシントングループの設問と大きな差異があるわけではない。
図表 130 各設問の回答のしやすさ(最も評価するものの割合)
ワシントン
グループ
欧州統計局 WHODAS2.0
総合して最も回答しやすい 38.9% 45.8% 15.3%
最も短時間で回答 41.8% 47.1% 11.1%
質問文が最も分かりやすい 38.8% 45.3% 15.9%
選択肢が最も選びやすい 37.4% 44.8% 17.8%

(わかりやすさの評価にかかる自由回答)

 ここでは、同一・類似の趣旨の自由回答が数件以上あったものを取り上げている。
 一部、表現の明らかな誤記等については加筆・修正を行っている。また、どの設問を指しての指摘かが明記されている場合には設問名を記載した(調査では設問名については“パターンA、B”等の表記となっており、自由回答もそのような表記で記載されていたため)。

●障害と疾患の区別が容易ではなく、障害があるだけで健康問題になるのか、障害が理由となる健康問題だけを想起すればよいのか迷う、という意見があった。

  • 気分によって健康状態が変わる。
  • 「健康上の理由で」というのは、精神の障害のことを含むのか、それとも外科的・内科的な意味だけなのか、わかりにくいです。
  • 風邪など一過性の体調不良を含めていいのかといったことなど、回答に考え込まされる設問がままあった。
  • 精神疾患なので健康面では何ら問題ないので、健康問題を問われても一瞬窮する。
  • 精神的な疾患があるため、健康状態がよいか悪いかという設問には身体と精神のどちらを中心において考えれば良いのか迷ってしまった。

●「苦労」や「支障」、「困難」は介助者の存在や支援器具の存在を前提とするのか、しないのかが判然としないため回答がしにくい、という声があった。

  • できないというのは、介助があってもできないという意味なのか迷う。
  • 慢性疾患(糖尿病)があるが、投薬治療が効いていて日常の活動には全く支障がない。睡眠も十分とれている。
  • メガネをかけたり、補聴器をつけていたりという前提の質問になっているので、していない人には苦労はないという回答としてはおかしいのではないのかと思う。

●複数の障害がある重複障害者は影響が様々であるという声が聞かれた。また、障害の種類によって回答しやすい設問とそうでない設問があるとの声が聞かれた。

  • 精神的な疾患と、身体的な疾患が複合して、日常生活に影響を及ぼしている。
  • 障害の種類によって、設問に答えやすかったり、答えにくかったりしそうだと思った。
  • 障害の種類を先に特定したほうが良いと思う。

●回答の選択肢について、自分が困っていることは聞かれなかったのでもっと広い範囲について選択肢にしてほしいという声も聞かれた。シンプルであることも逆にデメリットもあるという声が聞かれた。
●また、設問の尋ね方として、「〇分立っていられるか」のような具体的な設問の方が回答がしやすいという声も聞かれた。

  • もう少し広い範囲の質問をしてほしかったです。自分が困っていることはあまり聞かれませんでした。
  • 「○分立っていられるか」などのように、具体的な設問のほうが回答しやすい。
  • 設問がシンプルなのは答えやすい反面正確な答えとは言えない場合もある。

前のページへ次のページへ