IV.障害者を捉える設問に関する調査 IV-4-2 (2)
4.調査の結果
2)紙面調査
(2)3つの設問により「障害のある者」として捕捉された者の相互関係・重なり合い
<1>公的障害者制度も含めた上での重なり合い
WHODAS2.0は「障害のある者」の定義がないため、本調査研究において仮に置いたスコアに基づく分析である点には留意が必要であるが、今回の調査対象とした3つの設問全てで「障害のある者」として捕捉された者(64名)は「身体障害者手帳を所有」している割合が非常に多い(89.1%)。また、「障害年金を受給」している者も84.4%、「自立支援給付を受給」している者も50.0%で相対的に多い。
図表 135 ワシントングループの設問、欧州統計局の設問、WHODAS2.0の「障害のある者」の重なり合いと公的障害者制度の利用状況の関係
(公的障害者制度の利用状況は複数回答)
(上段:実数、下段:割合)
該当者数 | Q15_あなたの公的な障害者関連制度・機関の利用状況について、お答えください。 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1.身体障害者手帳を所持している | 2.療育手帳を所持している | 3.児童相談所、知的障害者更生相談所等の知的障害者判定機関による判定書を所持している | 4.精神障害者保健福祉手帳を所持している | 5.障害年金を受給している | 6.障害者総合支援法に基づく自立支援給付を受給している | 7.障害者職業センター又は障害者就業・生活支援センターによる支援を受けている | 8.介護保険法によるサービスを利用している | 9.難病法に基づく指定難病の医療費助成を利用している | 10.その他の公的な障害者関連制度・機関を利用している | 11.上記の公的な障害者関連制度は利用していない | ||
合計 | 201 | 117 | 83 | 12 | 18 | 120 | 62 | 18 | 6 | 21 | 33 | 1 |
WG,ES,WHODASの全てにおいて 『障害のある者』 |
64 | 57 | 20 | 1 | 2 | 54 | 32 | 4 | 4 | 10 | 21 | 0 |
WG及びESにおいて『障害のある者』 (但し、WHODASは『障害のない者』) |
6 | 4 | 1 | 0 | 1 | 4 | 3 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 |
ES及びWHODASにおいて『障害のある者』 (但し、WGでは『障害のない者』) |
7 | 2 | 0 | 0 | 3 | 2 | 4 | 1 | 0 | 2 | 1 | 1 |
WG及びWHODASにおいて『障害のある者』 (但し、ESでは『障害のない者』 |
19 | 13 | 7 | 0 | 0 | 15 | 5 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0 |
該当者数 | Q15_あなたの公的な障害者関連制度・機関の利用状況について、お答えください。 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1.身体障害者手帳を所持している | 2.療育手帳を所持している | 3.児童相談所、知的障害者更生相談所等の知的障害者 判定機関に よる判定書を所持している |
4.精神障害者保健福祉手帳を所持している | 5.障害年金を受給している | 6.障害者総合支援法に基づく自立支援給付を受給している | 7.障害者職業センター又は障害者就業・生活支援センターによる支援を受けている | 8.介護保険法によるサービスを利用している | 9.難病法に 基づく指定 難病の医療費助成を利用している |
10.その他の公的な障害者関連制度・機関 を利用している | 11.上記の公的な障害者関連制度は利用していない | ||
合計 | 201 | 58.2% | 41.3% | 6.0% | 9.0% | 59.7% | 30.8% | 9.0% | 3.0% | 10.4% | 16.4% | 0.5% |
WG,ES,WHODASの全てにおいて 『障害のある者』 |
64 | 89.1% | 31.3% | 1.6% | 3.1% | 84.4% | 50.0% | 6.3% | 6.3% | 15.6% | 32.8% | 0.0% |
WG及びESにおいて『障害のある者』 (但し、WHODASは『障害のない者』) |
6 | 66.7% | 16.7% | 0.0% | 16.7% | 66.7% | 50.0% | 0.0% | 16.7% | 0.0% | 33.3% | 0.0% |
ES及びWHODASにおいて『障害のある者』 (但し、WGでは『障害のない者』) |
7 | 28.6% | 0.0% | 0.0% | 42.9% | 28.6% | 57.1% | 14.3% | 0.0% | 28.6% | 14.3% | 14.3% |
WG及びWHODASにおいて『障害のある者』 (但し、ESでは『障害のない者』 |
19 | 68.4% | 36.8% | 0.0% | 0.0% | 78.9% | 26.3% | 0.0% | 0.0% | 5.3% | 15.8% | 0.0% |
(ワシントングループの設問及び欧州統計局の設問における「障害のある者」と公的障害者制度の利用者の重なり合い)
紙面調査は、ほとんどの者が公的障害者制度を利用しているため、重なり合いにかかる分析は行わない(ほぼ全員が公的障害者制度の利用者となるため)。
<2>全体的な重なり合い
(ワシントングループの設問、欧州統計局の設問、WHODAS2.0の重なり合い)
本調査研究の結果、3つの設問によって「障害のある者」として捕捉された者の相互関係・重なり合いは以下のようになった。なお、重なり合いの分析においては、ワシントングループの設問、欧州統計局の設問、WHODAS2.0のいずれでも「障害のある者」か「障害のない者」かの判定を行う必要があり、ここでは3つのいずれの設問でも「障害のある者」かどうかの判定が可能な回答をした者(192名)を全体として実施している。
WHODAS2.0は「障害のある者」の定義がないため、本調査研究において仮に置いたスコアに基づく分析である点には留意が必要であるが、3つの設問のいずれかにおいて「障害のある者」に該当するのは137名であり、全体の約71.4%である。
また、3つの設問のいずれにおいても「障害のある者」に該当するのは、64名であり、全体の約33.3%である。
それぞれ、「障害のある者」の定義のある、ワシントングループの設問と欧州統計局の設問について、2つの設問でいずれも「障害のある者」として捕捉された者は70名であり(6+64)、全体の36.5%である。これは、ワシントングループの設問と欧州統計局の設問のそれぞれの設問における「障害のある者」の全体から見ても多く(ワシントングループの設問の対象115名中70名で約60.9%、欧州統計局の設問の対象84名中70名で約83.3%)、ワシントングループの設問と欧州統計局の設問で捕捉された「障害のある者」は重複の割合は多い(特に欧州統計局の設問の「障害のある者」は8割以上がワシントングループの設問でも「障害のある者」として捕捉された)。
図表 136 ワシントングループの設問、欧州統計局の設問、WHODAS2.0の「障害のある者」の重なり合い(全サンプル192名における割合)(図表 136のテキスト版)
(上段:実数、下段:割合)
WG判定 | ES判定 | WHO判定 | |||
---|---|---|---|---|---|
合計 | 201 | 合計 | 195 | 合計 | 192 |
あり | 119 | あり | 71 | あり | 64 |
なし | 6 | ||||
なし | 45 | あり | 19 | ||
なし | 26 | ||||
なし | 82 | あり | 14 | あり | 7 |
なし | 7 | ||||
なし | 65 | あり | 8 | ||
なし | 55 | ||||
WG判定 | ES判定 | WHO判定 | |||
合計 | 100.0% | 合計 | 100.0% | 合計 | 100.0% |
あり | 59.2% | あり | 36.4% | あり | 33.3% |
なし | 3.1% | ||||
なし | 23.1% | あり | 9.9% | ||
なし | 13.5% | ||||
なし | 40.8% | あり | 7.2% | あり | 3.6% |
なし | 3.6% | ||||
なし | 33.3% | あり | 4.2% | ||
なし | 28.6% |
(3つの設問をそれぞれ全サンプル(100)と見た場合の重なり合い)
ワシントングループの設問で「障害のある者」を全サンプル(100%)として他の2設問における「障害のある者」との重なり具合を見た。ワシントングループの設問で「障害のある者」として捕捉され、かつ欧州統計局の設問・WHODAS2.0でも「障害のある者」として捕捉されたのは55.7%である。
また、欧州統計局の設問との重複は70名(60.9%)、WHODAS2.0との重複は83名(72.2%)とWHODAS2.0の方が重複割合は多い。
なお、他の2つの設問における「障害のある者」には重複しない者も26名(22.6%)となった。
図表 137 ワシントングループの設問、欧州統計局の設問、WHODAS2.0の「障害のある者」の重なり合い(ワシントングループの設問で「障害のある者」115名における割合)(図表 137のテキスト版)
欧州統計局の設問における「障害のある者」を全体(100%)として他の2設問における「障害のある者」との重なり具合を見た。欧州統計局の設問における「障害のある者」として捕捉され、かつワシントングループの設問・WHODAS2.0でも「障害のある者」として捕捉されたのは76.2%である。
また、ワシントングループの設問との重複は70名(84.3%)、WHODAS2.0との重複は70名(83.3%)と、いずれの設問における「障害のある者」との重複も8割を超える。
なお、他の2つの設問における「障害のある者」には重複しない者は7名(8.3%)とわずかである。
図表 138 ワシントングループの設問、欧州統計局の設問、WHODAS2.0の「障害のある者」の重なり合い(欧州統計局の設問における「障害のある者」84名における割合)(図表 138のテキスト版)
WHODAS2.0で「障害のある者」を全体(100%)として他の2設問における「障害のある者」との重なり具合を見た。WHODAS2.0で「障害のある者」として捕捉され、かつワシントングループの設問・欧州統計局の設問でも「障害のある者」として捕捉されたのは65.3%である。
また、ワシントングループの設問との重複は83名(84.7%)、欧州統計局の設問との重複は71名(72.4%)とワシントングループの設問の方が重複割合は多い。
なお、他の2つの設問における「障害のある者」には重複しない者は8名(8.2%)であり、わずかである。
図表 139 ワシントングループの設問、欧州統計局の設問、WHODAS2.0の「障害のある者」の重なり合い(WHODAS2.0で「障害のある者」98名における割合)(図表 139のテキスト版)