IV.障害者を捉える設問に関する調査 IV-4-2 (3)

4.調査の結果

2)紙面調査

(3)ワシントングループの設問に係る追加分析(気分障害)

 ワシントングループの設問における「障害のある者」について、短い設問セットには含まれない気分障害や精神障害に係る設問を加えた場合どの程度の者が「障害のある者」と捕捉されるかということについて分析を行った。

 本調査研究では、気分障害に関する設問は以下の2つを尋ねている。
 気分障害について、どこまでを「障害のある者」と捉えるかについては、検討チーム構成員によると国際的に合意された明確な定義やルールはないとのことである。
 試案的に「毎日」という者を「障害のある者」と捉える場合、「1.心配や落ち着かない気持ちや不安を感じる」者については、ワシントングループの設問で「障害のない者」のうち、14名が該当する。すると、本設問に回答しており、ワシントングループの設問で「障害のある者」が113名であるので、合算して127(14+113)名となり、本設問のサンプル(194名)に占める割合は65.5%となった。この割合は紙面調査におけるワシントングループの設問の「障害のある者」に占める割合59.2%(p148参照)を約6.3ポイント上回っている。
 同様に、「2.憂鬱を感じる」者については、ワシントングループの設問で「障害のない者」のうち、15名が該当する。すると、本設問に回答しており、ワシントングループの設問で「障害のある者」が110名であるので、合算して125(15+110)名となり、本設問のサンプル(190名)に占める割合は65.8%となった。この割合は紙面調査におけるワシントングループの設問の「障害のある者」に占める割合59.2%(p148参照)を約6.6ポイント上回っている。

 なお、「障害のない者」のうち「Q13-1.心配や落ち着かない気持ちや不安を感じる」・「Q13-2.憂鬱を感じる」のいずれかに「1.毎日」と回答した者は20名となった。これに「障害のある者」(119名)を加えると、139名となっており、全サンプルに占める割合は66.5%となった。この割合は紙面調査におけるワシントングループの設問の「障害のある者」に占める割合59.2%(p148参照)を約7.3ポイント上回っている。複数の設問を合わせて検討する場合、全サンプル(209名)を100%として割合を算出している。そのため無回答を除いたサンプルを100%としている上記個別設問部分に記載した割合とは単純比較できないことに留意が必要である。

図表 140 ワシントングループの設問における「障害のある者」と気分障害の設問のクロス集計結果
(上段:実数、下段:割合)
Q13 Q13
1.心配や落ち着かない気持ちや不安を感じることは
どのくらい頻繁にありますか。
2.憂鬱を感じることはどのくらい頻繁にありますか。
1.毎日 2.週に
1回程度
3.月に
1回程度
4.年に
2、3回程度
5.全くない 回答者数 1.毎日 2.週に
1回程度
3.月に
1回程度
4.年に
2、3回程度
5.全くない 回答者数
合計 45 33 36 39 41 194 39 31 31 33 56 190
WG障害のある者 31 19 19 24 20 113* 24 14 18 24 30 110*
WG障害のない者 14* 14 17 15 21 81 15* 17 13 9 26 80
合計 23.2% 17.0% 18.6% 20.1% 21.1% 100.0% 20.5% 16.3% 16.3% 17.4% 29.5% 100.0%
WG障害のある者 27.4% 16.8% 16.8% 21.2% 17.7% 100.0% 21.8% 12.7% 16.4% 21.8% 27.3% 100.0%
WG障害のない者 17.3% 17.3% 21.0% 18.5% 25.9% 100.0% 18.8% 21.3% 16.3% 11.3% 32.5% 100.0%

 なお、最も厳格な考え方である、「Q13-1.心配や落ち着かない気持ちや不安を感じる」・「Q13-2.憂鬱を感じる」のいずれについても「1.毎日」と回答した者は9となった。これにワシントングループの設問の「障害のある者」(119名)を加えると、128名となっており、全サンプルに占める割合は61.2%となった。この割合は紙面調査におけるワシントングループの設問の「障害のある者」に占める割合59.2%(p148参照)を約2.0ポイント上回っている。

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