全体総括と閉会挨拶久間和生 内閣府 総合科学技術・イノベーション会議 常勤議員

本日は、お忙しいところ、多数の皆様のご参加をいただき、誠にありがとうございました。主催者を代表しまして、心からお礼を申し上げます。

総合科学技術・イノベーション会議では、安倍総理、山口科学技術政策担当大臣の強力なリーダーシップの下、各省を俯瞰する立場から、総合的な科学技術・イノベーション政策の企画立案を進めております。

SIPはその重要な施策の一つとして、総合科学技術・イノベーション会議が先頭に立ち、府省が一体となって、産学官連携の下、基礎研究から出口すなわち、実用化・事業化までを見据えて、研究開発のみならず制度的課題の解決にも一体的に取り組み、これにより、科学技術イノベーションの実現を目指す、国家プロジェクトです。

1.日本にとって何としても成功させねばならない課題であることと、2.省庁連携が必要な課題であることが、重要な特徴です。

そのためにSIPは、今年度、内閣府自らが年間500億円の予算を預かり、計画通りにスタートしました。また、今年度、設定した10課題に対して、省庁連携や産学官連携を強力に推進できるプログラムディレクター(PD)を選定できました。10人とも、経験豊富で世界でもトップクラスの実力者をPDに選出できたことは、この上ない喜びです。


午前中のセッションにおいて、どの課題においても、出口戦略と成果目標が明確に設定されていること、各省庁の役割分担や連携策も具体化されていることをご理解いただけたものと思います。

10人のPDの方々、およびそれぞれの課題に参画される省庁、大学、国公立研究所、企業の皆様方は、作成した計画書に沿って、確実にかつスピーディーに開発を進めていただきたいと思います。

ここで2点、お願いがあります。一つ目は、どの課題もグローバル競争が極めて熾烈な分野です。常に状況を分析し、各課題の開発加速や目標スペックの修正などをフレキシブルに行っていただきたいと思います。また、グローバル展開を考えた開発を行ってください。
二つ目は、規制改革や知財・国際標準化戦略など、事業化の際に欠かせない施策を強化していただきたく思います。事業化、実用化や国際展開は、技術開発のみではうまくいかない分野も多いことを忘れないでいただきたく思います。

いずれの課題も、日本が世界を先導する上で重要な取り組みであり、SIPが持続的経済成長を牽引するためには、1つの取りこぼしも許されません。ぜひ、10戦0敗を目指したいと思います。

また、先ほど、SIPの特徴として申し上げた通り、SIPは、日本の経済と社会発展、産業競争力強化を目的として、新たな価値を創造する重要な課題を選定したものであるとともに、各課題の目標をスピーディーに達成するために、PDのリーダーシップの下、複数の省庁が徹底的に連携して推進する、新しいマネージメントスキームでイノベーション創造を目指すものであります。


午後のパネルディスカッションでは、このSIPによる具体的成果およびSIPが目指すイノベーション創出のための仕組みを中心に、各PDと総合科学技術・イノベーション会議議員が議論を行い、これをファシリテーターの横山先生に上手に整理していただけたと思います。

各課題の目標をスピーディーに達成するためには、PDの強いリーダーシップの下、総合科学技術・イノベーション会議、各省庁、および産学官が、それぞれの役割と権限と責任を明確にして、縦の連携と横の連携を強化して、一体となって研究開発を推進することが重要です。

私は、SIPが、省庁連携、産学官連携でイノベーションを創造するプログラムのひな形となり、日本中のあちらこちらで自発的に連携が行われ、日本発のイノベーションが続々と創造されることを強く期待しております。

皆様方におかれましては、本日のシンポジウムを通じて、SIPが目指す課題と仕組みについて、ご理解いただけたのではないかと思います。

最後に今後とも引き続きSIPに対する、皆様方の一層のご理解とご支援をお願いして閉会の挨拶とさせていただきます。

ありがとうございました。