第8次交通安全基本計画・表紙・まえがき・目次

交通事故のない社会を目指して

平成18年3月14日
中央交通安全対策会議

まえがき

車社会化の急速な進展に対して、交通安全施設が不足していたことに加え、車両の安全性を確保するための技術が未発達であったことなどから、昭和20年代後半から40年代半ば頃まで、道路交通事故の死傷者数が著しく増加した。

このため、交通安全の確保は大きな社会問題となり、交通安全対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、昭和45年6月、交通安全対策基本法(昭和45年法律第110号)が制定された。

これに基づき、46年度以降、7次にわたる交通安全基本計画を作成し、国、地方公共団体、関係民間団体等が一体となって陸上、海上及び航空交通の各分野において交通安全対策を強力に実施してきた。

その結果、昭和45年に1万6,765人が道路交通事故で死亡し「交通戦争」と呼ばれた時期と比較すると、平成14年中の死者数は8,326人と半減するに至り、さらに17年中の死者数は6,871人にまで減少した。

これは、国、地方公共団体、関係民間団体のみならず国民を挙げた長年にわたる努力の成果であると考えられる。

しかしながら、未だに道路交通事故による死者数が6千人を超えているほか、近年の状況を見ると、道路交通事故件数は高い状態で推移しており、今や事故そのものを減少させることが求められている。また、鉄道(軌道を含む。以下同じ。)、海上及び航空交通の各分野においても、大量・高速輸送システムの進展の中で、一たび交通事故が発生した場合には重大な事故となるおそれが常にある。

言うまでもなく、交通事故の防止は、国、地方公共団体、関係民間団体だけでなく、国民一人一人が全力を挙げて取り組まなければならない緊急かつ重要な課題であり、人命尊重の理念の下に、交通事故のない社会を目指して、交通安全対策全般にわたる総合的かつ長期的な施策の大綱を定め、これに基づいて諸施策を強力に推進していかなければならない。

この交通安全基本計画は、このような観点から、交通安全対策基本法第22条第1項の規定に基づき、平成18年度から22年度までの5年間に講ずべき交通安全に関する施策の大綱を定めたものである。

この交通安全基本計画に基づき、国の関係行政機関及び地方公共団体においては、交通の状況や地域の実態に即して、交通の安全に関する施策を具体的に定め、これを強力に実施するものとする。

目次

計画の基本理念

第1部 陸上交通の安全

第1章 道路交通の安全

第1節 道路交通事故のない社会を目指して
第2節 道路交通の安全についての目標
(1)道路交通事故の現状と今後の見通し
  1. 道路交通事故の現状
  2. 道路交通を取り巻く状況の展望
  3. 道路交通事故の見通し
(2)交通安全基本計画における目標
第3節 道路交通の安全についての対策
(1)今後の道路交通安全対策を考える視点
  1. 少子高齢社会への対応
  2. 歩行者の安全確保
  3. 国民自らの意識改革
  4. ITの活用
(2)講じようとする施策
  1. 道路交通環境の整備
  2. 交通安全思想の普及徹底
  3. 安全運転の確保
  4. 車両の安全性の確保
  5. 道路交通秩序の維持
  6. 救助・救急活動の充実
  7. 損害賠償の適正化を始めとした被害者支援の推進
  8. 研究開発及び調査研究の充実

第2章 鉄道交通の安全

第1節 鉄道事故のない社会を目指して
(1)鉄道事故の状況等
  1. 鉄道事故の状況
  2. 近年の運転事故の特徴
(2)交通安全基本計画における目標
第2節 鉄道交通の安全についての対策
(1)今後の鉄道交通安全対策を考える視点
(2)講じようとする施策
  1. 鉄道交通環境の整備
  2. 鉄道の安全な運行の確保
  3. 鉄道車両の安全性の確保
  4. 救助・救急活動の充実
  5. 被害者支援の推進
  6. 研究開発及び調査研究の充実

第3章 踏切道における交通の安全

第1節 踏切事故のない社会を目指して
(1)踏切事故の状況等
  1. 踏切事故の状況
  2. 近年の踏切事故の特徴
(2)交通安全基本計画における目標
第2節 踏切道における交通の安全についての対策
(1)今後の踏切道における交通安全対策を考える視点
(2)講じようとする施策
  1. 踏切道の立体交差化、構造の改良及び歩行者等立体横断施設の整備の促進
  2. 踏切保安設備の整備及び交通規制の実施
  3. 踏切道の統廃合の促進
  4. その他踏切道の交通の安全と円滑化を図るための措置

第2部 海上交通の安全

第1節 海難等のない社会を目指して
(1)海難等の状況
(2)交通安全基本計画における目標
第2節 海上交通の安全についての対策
(1)今後の海上交通安全対策を考える視点
(2)講じようとする施策
  1. 海上交通環境の整備
  2. 海上交通の安全に関する知識の普及
  3. 船舶の安全な運航の確保
  4. 船舶の安全性の確保
  5. 小型船舶等の安全対策の充実
  6. 海上交通に関する法秩序の維持
  7. 救助・救急活動の充実
  8. 被害者支援の推進
  9. 研究開発及び調査研究の充実

第3部 航空交通の安全

第1節 航空事故のない社会を目指して
(1)航空事故の状況
(2)交通安全基本計画における目標
第2節 航空交通の安全についての対策
(1)今後の航空交通安全対策を考える視点
(2)講じようとする施策
  1. 航空交通環境の整備
  2. 航空機の安全な運航の確保
  3. 航空機の安全性の確保
  4. 救助・救急活動の充実
  5. 被害者支援の推進
  6. 研究開発及び調査研究の充実

特記 公共交通機関における総合的な安全対策