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平成27年度「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」作品集

はじめに

障害の有無にかかわりなく、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」の実現は、我が国の今後の在り方を考える上で、大変重要な課題です。

内閣府では、毎年、各都道府県・指定都市との共催で、障害や障害のある方に関わる「体験作文」と「障害者週間のポスター」を募集しています。今年も、多くの方々から応募をいただきました。応募いただきました皆様に心から感謝いたします。

いずれも、障害のある人とない人との心の触れ合いを豊かに表現するなど優れた作文であり、また、色彩豊かで力強く、また温かみのあるポスターでした。将来の我が国を担う若い人たちが、自らの体験や思いを基に、障害をめぐる様々な題材を作文やポスターに表現されたことに大変感銘を受けました。そして、「共生社会」の実現に向けての大きな力を強く感じました。

この「出会い、ふれあい、心の輪」は、各都道府県・指定都市からの推薦作品より選定した入賞作品を収録したものです。学校や地域で御協力いただいている方々の御尽力に感謝いたします。

来年4月には「不当な差別的取扱いの禁止」及び「合理的配慮の提供」を眼目とする「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が施行されます。障害のある人もない人も共に生きる社会の実現に向けて、この作品集が、学校、職場、地域社会などで、これまで以上に、広く活用されることを念願しています。

平成二十七年十二月
内閣府特命担当大臣 加藤 勝信

心の輪を広げる体験作文 審査講評

今年も多彩な作品が寄せられた。どれもが貴重な体験を綴った作品で、心温まる思いで読み進んだ。中でも小学生部門の『退院から一年たって』(加藤灯)は、事故で重い障害を負った書き手の懸命なリハビリのようすが、短い文章からあふれ出るほどに詰め込まれている。手のふるえのためにうまく文字が書けず、ます目から飛び出しそうな肉筆の文字の一つ一つが胸に突き刺さるようだった。

コンクールには障害者ご本人が書かれたものと、障害者に寄り添う健常者の作品とが寄せられる。ご本人の作品に切実さが感じられるのは当然だが、そばに寄り添う人にとっても、切実なテーマであることは間違いない。中学生部門の『心のつながり』(菅麻菜美)は脳梗塞で倒れた母親を描いたもので、最初に元気だったころの母親の姿が鮮やかに描かれる。このイメージが強く印象づけられるため、後遺症で障害を負った姿が痛々しく、中学生というまだ母親の庇護が必要な年齢の書き手の困難な状況が、胸に迫ってくる。とくに発作が起こった当日の息詰まるような緊迫した描写が秀逸だ。

高校生・一般部門の『ゆかちゃんとチィ』(川村恵子)も知的障害を負った妹を姉の視点で綴った健常者の作品だが、切実なものが伝わってくる。体は成長しても二歳くらいの知能しかない妹に対し、一時は距離をとろうとしていた姉だったが、男児が生まれたのを機に実家の隣に転居し、妹と親しく関わることになる。その男児のチィちゃんの反応が、興味深く描かれている。始めは怖がっていたチィちゃんが、やがて障害者の存在を受け容れ、まだ幼児なのに叔母に対して兄のごとく優しく接するようになる、その過程が感動を誘う。

偏見も同情もなく、ごく自然に親しみをもって接する幼児の無邪気な姿の中に、わたしたちが障害者に接する時に最も必要な、基本的なスタンスがここに示されているのではという気がした。心が洗われるようなよい文章だと改めて思った。

審査委員長 三田 誠広

心の輪を広げる体験作文入賞作品

最優秀賞
小学生部門 退院から一年たって 大野城市立大野東小学校六年 加藤 灯(福岡県)
中学生部門 心のつながり 大垣市立赤坂中学校三年 菅 麻菜美(岐阜県)
高校・一般部門 ゆかちゃんとチィ 川村 恵子(鳥取県)
優秀賞
小学生部門 楽しいぼうけん 西都市立妻北小学校三年 阿萬 和春(宮崎県)
伝える力と心 海津市立高須小学校四年 伊藤 大吾(岐阜県)
ぼくの親友、T君 名古屋市立高蔵小学校六年 杉村 俊樹(名古屋市)
中学生部門 「ごめんなさい」と「ありがとう」 筑波大学附属聴覚特別支援学校中学部三年 伊東 碧海(千葉県)
差別 鯖江市立中央中学校二年 加藤 那琢(福井県)
十人十色 福岡市立照葉中学校三年 山口 詩温(福岡市)
高校・一般部門 花火 石川県立翠星高等学校二年 沢辺 小晴(石川県)
自分への挑戦 明 正隆(富山県)
出会い・巡り会い 花谷 静(堺市)
佳作
小学生部門 水泳の授業での友だちのサポートに感謝 大阪市立扇町小学校六年 白箸 知紗(大阪市)
伝えたい事 人吉市立西瀬小学校六年 豊沢 花恋(熊本県)
笑顔と感謝が第一歩 袋井市立袋井北小学校六年 鈴木 琴乃(静岡県)
ぼくとたけちゃん 茨城大学教育学部附属小学校一年 佐々木 順一(茨城県)
心の病気とは?~心の声に耳を傾けて 四條畷市立くすのき小学校六年 酒井 翔馬(大阪府)
中学生部門 弟の個性 静岡市立東豊田中学校一年 立石 桃子(静岡市)
心通わせる場 大阪教育大学付属平野中学校一年 土井 正太(大阪市)
ゆいちゃんは私のヒーロー 安城市立安城南中学校三年 半田 碧(愛知県)
手をさしのべる勇気 鹿屋市立大姶良中学校一年 齋藤 利奈(鹿児島県)
みな 香川大学教育部附属高松中学校三年 木口 瑞穂(香川県)
高校・一般部門 認知症の患者さんとその家族をサポートするために 春日部共栄高等学校二年 仁平 朱香(さいたま市)
「生きるエネルギー」 保田 健太(相模原市)
「『私』は『私』~自分を生きる~」 地主園 綾(福岡県)
障がいについて 学校法人創価学園関西創価高等学校三年 塙 正行(大阪市)
私なりの支え方 兵庫県立龍野北高等学校二年 後藤 七星(兵庫県)

障害者週間のポスター 審査講評

並んだ作品を審査前に一望した時、何時もと違う空気を感じた。充実した気力である。それは審査で、一点一点凝視して理解できた。作品のレベルにあまり差が無く互いに刺激しあうように見え、緊張感まで感じたのである。

場面を電車に障害の人を乗せる構図にし、思いきった彩色でしっかり仕上げた秀作、小学生部門最優秀賞の赤坂優心君は、ポスターのための絵を描ける力量があると見られる。この緩ぎない形とは真逆とも言える自由に揺れる如く描き上げた優秀賞の草野莉里さんの酒脱な絵からは、温かく、自然で優しい微笑みが生まれる。佳作になった作品も個性的な良さが伝わってくる。桐山紋奈さんの黄色バックの中心に車椅子の人、画面の周囲からの沢山の手、明快な構成が効果的な場面を造る。鈴木きみさんの動的な人物アップを中央に据え、小さく生活する人びとを配したのも魅力的。門田歩子さんの色感の豊かな花々が画面を飾る心の触れ合いの表現。力強い造形と筆致の伊集院晏矢君のリズミカルな画面。そして木下天舞君の競技会会場の舞台の迫力など伝達手段としての価値が認められた。

中学生部門最優秀賞の脇駿太郎君の天地の裁ち落しの大胆な構成と力強い描画から努力の跡が明確に見られた。アスリートの顔の筋肉、体のひねりなどの写実の表現に覇気がみなぎっていた。ただ背景の観衆のデッサンへの消化が弱くなってしまったのは惜しまれる。

優秀賞の後藤海翔君の人物表現と背景の色相の変化は極めて個性的なオリジナルの世界を創っている。佳作の久保川魁大君の作品は単純だが仕上りが良く、好感の持てる秀作。小山田航佑君の筋肉感のスポーツの情景。金子聖来さんの柔らかな色感が爽やかだ。豊田理綸君のジャンプと虹の同形の重なる形。志摩俊乃介君の競技場面も躍動感のある構成で面白い。僅差の作品の順位を決めるのは難しい。しかし貴重な言葉を思い出させてくれた。 『描き続けることが大切なのだ』と、伝えたい。

審査委員会委員 杉田 豊

障害者週間のポスター入賞作品

最優秀賞

小学生部門
小学生部門最優秀賞
美里町立不動堂小学校三年
赤坂 優心(宮城県)
中学生部門
中学生部門最優秀賞
さいたま市立大原中学校一年
脇 駿太郎(さいたま市)

優秀賞

小学生部門
小学生部門優秀賞
大垣市立南小学校四年
草野 莉里(岐阜県)
中学生部門
中学生部門優秀賞
宮崎県立明星視覚支援学校中等部一年
後藤 海翔(宮崎県)

小学生部門 佳作

佳作
川口市立戸塚南小学校五年
桐山 紋奈(埼玉県)
佳作
浜松市立元城小学校二年
鈴木 きみ(浜松市)
佳作
高松市立多肥小学校三年
門田 歩子(香川県)
佳作
宮崎市立加納小学校二年
伊集院 晏矢(宮崎県)
佳作
扶桑町立柏森小学校五年
木下 天舞(愛知県)

中学生部門佳作

佳作
佐世保市立日野中学校二年
久保川 魁大(長崎県)
佳作
河北町立河北中学校二年
小山田 航佑(山形県)
佳作
前橋市立荒砥中学校三年
金子 聖来(群馬県)
佳作
大垣市立西中学校二年
豊田 理綸(岐阜県)
佳作
美里町立不動堂中学校三年
志摩 俊乃介(宮城県)

編集後記

内閣府では、障害者施策における啓発広報の一環として、毎年、都道府県・指定都市との共催で「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」の募集を行っています。今年は、作文では小学生部門七五八編、中学生部門二、八〇二編、高校生・一般部門六〇五編の合計四、一六五編、また、ポスターでは小学生部門五二九点、中学生部門七五六点の合計一、二八五点の応募があり、作文とポスターの応募者数を合わせると延べ人数で五、四五〇名の方に応募していただきました。各都道府県・指定都市をはじめ、関係機関・関係者の方々に積極的に取り組んでいただき、御協力いただいた結果であり、厚く御礼申し上げます。

応募作品のうち、各都道府県・指定都市から推薦のあった作文及びポスターについて、審査委員会(三田誠広委員長)において審査いただいた結果、全体で最優秀賞五作品、優秀賞十一作品、佳作二十五作品の計四十一作品を入賞作品として決定いたしました。

本作品集は、これら四十一(作文二十七編、ポスター十四点)の作品を掲載したものであり、推薦のあった作品については、参考資料の中で作者・学校名等を一覧表で掲載しました。

障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重しあいながら共生する社会の実現を図るためには、各種施策の進展とともに一人一人の「心の壁」を取り除いていくことが極めて重要です。

本作品集が学校、職場、地域など様々な場において多くの方々にご覧いただき、「心の輪」を広げ、障害のある人への理解と関心がさらに深められることの一助になることを念願しています。

内閣府 政策統括官(共生社会政策担当)付
障害者施策担当

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