次世代海洋資源調査技術

「海のジパング計画」―〝黄金の国″を海洋に求めて

プログラムディレクター浦辺 徹郎、1971年東京大学理学部地学科卒業。76年同大学大学院理学系研究科地質学専攻修了(理学博士)。同年同大学理学部助手、85年工業技術院地質調査所(現・産業技術総合研究所)。同所首席研究官等を経て、2000年理学系研究科 地球惑星科学専攻教授。11年から17年まで大陸棚限界委員(国連)。13年から現職。

13世紀、イタリア人マルコ・ポーロは、『東方見聞録』で日本を〝黄金の国ジパング″と記した。我が国は世界有数の金、銀、銅の産出国であったが、今は金属資源のほぼすべてを海外に依存している。しかし、日本列島のまわりの深海底には豊かな鉱物資源が存在する。次世代海洋資源調査技術(海のジパング計画)は、高効率な海洋資源調査技術を確立することで、世界をリードする海洋資源調査産業の創出を目的とする。

研究開発テーマ

  1. 海洋資源の成因の科学的研究に基づく調査海域の絞り込み手法の開発
    広大な海底から海洋資源の有望海域を絞り込むために、資源の濃集メカニズム等を解明し、鉱物資源に特徴的な指標等を特定することで、科学的根拠に基づいた絞り込み手法を開発する。それらを、民間企業が使用しやすい「調査プロトコル」にすることで、大幅な調査時間短縮およびコスト低減に寄与する。
  2. 海洋資源調査技術の開発
    海底資源を高効率に調査し、潜頭性海底熱水鉱床(海底面に鉱床が露出していない熱水鉱床)を検知できるシステムは、今まで存在しなかった。そこで広範囲調査が可能となるAUV(自律型無人探査機)の複数運用、ROV(遠隔操作無人探査機)による高効率調査システム等を組合せ、海底下の資源を効率良く発見できる調査システムを世界に先駆けて構築する。それにより海洋資源を調査・開発す る新しいマーケット創出を狙う。
  3. 生態系の実態調査と 長期監視技術の開発
    海洋資源の開発において、生態系や環境への配慮が不可欠である。海洋において資源開発と環境保護を両立させるた めのリスク評価項目を選定する。環境影響評価と環境管理の国際標準化を目指し、それら技術の海外輸出や海外での調査案件の受注を狙う。