Q13 VFM(Value for Money
VFMとは何ですか?

VFMとはどのようなものですか?

VFMはPFI事業における最も重要な概念の一つで、支払い(Money)に対して最も価値の高いサービス(Value)を供給するという考え方のことです。従来の方式と比べてPFIの方が総事業費をどれだけ削減できるかを示す割合です。

VFMはいつ計算するのでしょうか?

VFM算定はPFI導入可能性の検討段階で計算する“シミュレーションのVFM”と落札者が決まってから計算する“実際のVFM”と2種類あります。“シミュレーションのVFM”とは、PFI事業として行うかどうかを判断するための予測の計算で、特定事業の選定時に公表します。一方、“実際のVFM”は落札者の提案内容から算定します。

VFMシミュレーションと実際のVFMは同じくらいなのでしょうか?

事例ごとに異なりますが、先行事例のうち、留辺蘂町外2町一般廃棄物最終処分場整備及び運営事業など、特定事業の選定時(シミュレーション段階)のVFMよりも、実際のVFMが大きく上回っている事例もあります。

VFMは何%以上出ればいいのでしょうか?

下図にあるようにVFMの実績は10%台が多いようですが、何%以上出ればよいという決まりはなく、先行事例の(仮称)松森工場関連市民利用施設整備事業(仙台市)のように、PFI導入による定量的な評価だけで判断せず、定性的なメリットを高く評価して、総合的にVFMが出ると判断し、PFI事業とした例もあります。PFI導入可能性調査で、PFI事業で行うかどうかを判断する際には、定量的な評価だけでなく、PFIとした場合のメリット・デメリットを総合的に考えてVFMが出るかどうか判断します。

高いVFMを達成するためにはどうすればいいのでしょうか?

高いVFMを達成する要素は様々ありますが、民間のノウハウを活かしやすい環境条件を整えることが高いVFMを生むと考えられます。また、応募者が多数ある事業は競争が働きコストダウンにつながるといえます。先行事例の多摩地域ユース・プラザ(仮称)整備事業の担当者からは次のような意見がありました。

~先行事例ヒアリングより~

先行して実施した区部ユース・プラザ(仮称)整備等事業では、入札に参加した民間事業者は1グループのみという結果となりました。(実際のVFM:約1.5%)
多数の民間事業者の参加を受け、事業者間の競争原理をより一層働かせることが、大変重要であると考えたため、多摩地域ユース・プラザ(仮称)整備等事業では、施設運営期間を10年とするなどなるべく多くの事業者が参加できるような工夫を行い、その結果、5グループの入札参加者を得て、落札者の提案では10%を超えるVFMが示されました。

VFMはどうやって算出するのでしょうか?

次の計算式で計算します。ただし、現在価値化した値を使ってVFMを計算します。

VFM計算式

LCC(ライフサイクルコスト)とは何ですか?

設定した事業期間にかかる収入、支出の全てをいいます

従来の公共事業のLCCとPFIのLCCの比較図

現在価値化とは、どういうことですか?

例えば金利が5%の場合、今日の100円は1年後の105円と同じ価値であるという考えをもとに、将来の金額を現在の価値に置き換えることです。その割合を“割引率”といいます。(詳細については2.実務編Q3-1を参照)

割引率はどうやって決めるのですか?

割引率の考え方は『VFMに関するガイドライン(平成13年7月 内閣府PFI推進委員会)』で示されていますが、数値は決まっていません。類似施設の事例、同じ事業期間の事例、同じ地方公共団体内における先行事例、最近の傾向等から、各地方公共団体は、アドバイザーと相談して決めていることが多いようです。割引率の数値は、国債の利回りの過去の平均や物価上昇率等を考慮して決めていきます。

VFMの実績

PFI事業のうち、最終VFMが公表されている59事業を集計したグラフ(最終VFMとは、地方公共団体が設定した従来の公共事業のLCCと民間事業者が落札したLCCとで算定した数位)

先行事例で採用されている割引率(実務編 Q3-1参照)

先行事例で採用されている割引率を表したグラフ